ダーツ完全ガイド

道具・基礎・ルール
代表的ゲーム・用語・FAQをまとめて理解。
これページで“ダーツのわからない”を解消できます。

1. ダーツとは?

ダーツは、円形ボードに向かって短い矢を投げ、当てた場所に応じて得点や条件を満たして競うスポーツです。 技術だけでなく、ゲームごとに異なる戦略性・メンタルコントロールも奥深さのポイント。 バーやアミューズメント施設はもちろん、競技会・プロツアーまで幅広い舞台で親しまれています。

2. 歴史

ダーツのルーツは中世イングランドまでさかのぼるとされます。よく紹介される説では、 15世紀中葉(バラ戦争の頃)に兵士たちが樽のふたや木の年輪を的にして、 短く切った矢を投げて遊んだことが発端と言われます(伝承であり、確証的史料は限定的)。 その後、酒場文化の中で競技性が育ちました。

19世紀末
現在のような「20分割+ダブル/トリプル/ブル」の盤面設計が整う。
1935年
英Nodor社がサイザル麻を圧縮したブリッスルボードを発表。木板より耐久・衛生面が向上し普及。
1980年代
米Medalist社などが自動計算機能を備えたエレクトロニック(ソフト)ボードを展開。プラスチック先端の ソフトダーツが広がる。
2000年代以降
ネットワーク対戦やICカードの普及で競技人口が拡大。日本ではソフトが大衆化し、同時にスティール(金属先端)も再評価。

ダーツは集中力や継続力、状況判断を鍛えやすい競技で、順番やマナーを学びやすい側面もあります。 ただし身体・医療効果(自律神経の強化等)を医学的に断定する根拠は限られるため、その点は留意してください。

3. スティール・ティップとソフトダーツの違い

共通点

  • ボードのセクション構成(シングル/ダブル/トリプル/ブル)は基本同じ。
  • ゲーム種類(01、クリケットなど)も概ね共通。

主な違い

  • 先端:スティールは金属、ソフトはプラスチック(ティップ)。
  • ボード:ブリッスル(約18インチ)が一般的/ソフトは約15.5インチ。
  • スローライン:スティールは約2.37m、ソフトは約2.44m(一般的な規格)。
  • ブルの扱い:ソフトは“両方50点(Fat Bull)”設定も多い。

※会場や機種設定で細かい差があるため、実際の表示・ルールに従ってください。

4. 道具

4-1. ダーツ(パーツ構成)

ポイント(先端) スティールは金属/ソフトは樹脂のティップ。コンバージョンポイントで切り替え可能なモデルも。
バレル(握る部分) 材質・形状・重さ・刻みで投げ心地が大きく変わる“心臓部”。初めは18〜20g前後が目安。
シャフト(軸) 長さ・素材で飛びの安定感が変化。回転タイプや柔軟素材など干渉を抑える工夫も。
フライト(羽) 面積が大きいほど安定性↑だが失速しやすい。スタンダード/シェイプ等で調整しよう。

4-2. ダーツボード

  • 外周のダブルリングは表示×2、内側のトリプルリングは表示×3。
  • ブルは中央の二重円:外側(アウター)25点/内側(インナー)50点が一般的。ソフトはFat Bull採用も。

4-3. ダーツマシン

ソフトダーツ用のエレクトリックボードは自動計算・アワード演出・オンライン対戦など機能が豊富。 店舗やリーグでの主流です。

5. 基本動作と距離

  • スローライン(足元の境界)を越えずに3本投げると1ラウンド。
  • スティール:一般的に約2.37m/ソフト:一般的に約2.44m
  • 刺さらなくても投げ直しはしないのが原則(会場ルールに従う)。

6. 代表的なゲーム

6-1. 01(ゼロワン)定番

701/501/301などの持ち点をちょうど0にする減点ゲーム。終わり方のルールにDouble OutMaster Outがある。

6-2. クリケット

20〜15とBULLを“クローズ”して陣取り。相手より先に閉じて得点差を作る戦略ゲーム。

6-3. カウントアップ

8ラウンド(計24本)の合計点を競うシンプルな加点ゲーム。初心者の練習に最適。

6-4. ラウンド・ザ・クロック

1→20(+BULLの場合も)を順番に当てていく。狙い分けの練習に。

6-5. ハーフイット

指定ターゲットに当てられなければ所持点が半減。メリハリのある精度トレーニングに向く。

7. 得点・アワード等の用語

    7-1. スコアの基本

    • シングル:数字そのままの点。
    • ダブル(D):外周の細い帯。表示×2点。
    • トリプル(T):中心寄りの細い帯。表示×3点。
    • ブル:中央の二重円。外側はアウターブル、内側はインナーブル。
    • アウターブル:一般的に25点。
    • インナーブル:50点。
    • Fat Bull:ソフトでよくある設定。外内どちらも50点。
    • バスト:01でマイナスになったり、アウト条件を満たせずに無効になること。

    7-2. アワード・言い回し

    • Ton:1ラウンド合計100点以上(例:160=「Ton 60」)。
    • Ton 80:T20×3の180点。
    • High Ton / Low Ton:High=151点以上、Low=100〜150点。
    • Hat Trick:BULLを3本。
    • White Horse:クリケットで違う番号のトリプルを3本。
    • Shanghai:同じ番号のS/D/Tを1本ずつ。
    • Nine-dart finish:501を9投でフィニッシュ。

    7-3. 進行の言葉

    • レッグ / セット:ゲームの最小単位/複数レッグを束ねる単位。
    • 先行・後攻:最初に投げる人/後に投げる人。
    • ブレイク:後攻が先行に勝つこと。
    • コーク(センターコーク):先攻決め。BULLに近い方が先行。
    • チェックアウト(フィニッシュ):01を0点にして上がること。
    • アレンジ:上がりやすい残り点に整えること。

    7-4. クリケット用語

    • クローズ:その番号を条件達成で締めること。(オープンとも言う)
    • オーバー:相手が開いている番号で点を積むこと。
    • マーク:クリケットのカウント単位(S=1、D=2、T=3)。

    7-5. フォーム・狙い

    • グルーピング:矢を近くにまとめること。
    • スタッキング:刺さった矢を“台”にして上から重ねて入れる狙い方。
    • ロビンフッド:刺さった矢のフライトに次の矢が刺さる現象。

    7-6. 道具まわり

    • 2BA / No.5:ソフトダーツのネジ規格。2BAが一般的。No.5は細め。
    • ストレート / トルピード:バレル形状。直線型/前が太めの形。
    • 前重・後重・センター:重心位置のタイプ。
    • コンバージョンポイント:先端を付け替えてスチールでも投げられるポイント。
    • シャフト長:短いと回転が速く、長いと直線的に感じやすい。
    • フライト形状:スタンダードは安定寄り、シェイプは走り寄り、など。
    • ボード高さ:センター(BULL)の高さは一般的に約1.73m。
    • スロー距離:スティール約2.37m/ソフト約2.44m(会場ルール優先)。

8. よくある質問(FAQ)

Q : ダーツを始めるのに最低限必要なものは?
A : マイダーツ一式(バレル・シャフト・フライト・ティップ)だけでOK。最初はハウスダーツでもOKですが、手に合う重さとグリップ感のバレルを持つと安定します。
Q : バレルの重さ・形はどう選ぶ?
A : 18〜20g前後・ストレート〜緩いトルピードから。
“しっかり握れて滑らない/離れが良い”のバランスを重視し、重さは的に届く最低限から調整を。
Q : スローラインの距離は?
A : 一般的にスティール約2.37m、ソフト約2.44m。会場の表示に従ってください。
Q : ブルは25点?50点?
A : スティールは外25/内50が一般的。ソフトは両方50点(Fat Bull)設定の機種や大会も多いです。
Q : 01とクリケット、どちらから練習するべき?
A : まずはフォームが崩れにくいカウントアップ+01で基礎精度を作る→クリケットで配分や状況判断を磨く流れがおすすめ。
Q : マナーや注意点は?
A : 投げている人の前を横切らない・スロー中は静かに・抜く前に相手の確認・順番やレーン案内に従う、など基本を大切に。
Q : ボードの高さと距離(家でやる場合)は?
A : センターの高さは約1.73m。スローラインはスティール約2.37m、ソフト約2.44mが一般的です。表示や機種設定がある場合はそれに従ってください。
Q : 家だと音はうるさい?静かにするコツは?
A : ソフトボード+柔らかめティップでかなり静か。裏に吸音マットやコルク板を敷く、周りに保護ボードを付けると安心です。
Q : 最初の予算はどれくらい?
A : 入門セットは数千円〜。バレル単体で選ぶなら1万円前後の価格帯に選択肢が多いです(メーカーや素材で上下します)。
Q : 短時間で上達する練習メニューは?
A : 20分ルーティン例:
・5分:BULLでフォーム合わせ(狙いを一本化)
・10分:T20→T19→T18の順で切替練習(外れても即切替)
・5分:01の上がり想定(残り32/40/50など)でダブル練習
Q : 立ち方・持ち方の基本が知りたい
A : 軸足をラインに置いて半身、肩・肘・手のラインを的へ。ダーツは親指+人差し指+中指の3点が基本。力は入れすぎず、同じ位置で毎回離す意識。
Q : 手首のスナップは必要?
A : 強く「弾く」より、手首は自然にしなる程度でOK。肘を支点に、肘から先が前へ伸びる感覚を大事に。
Q : 利き目は関係ある?
A : 片目ずつ閉じて、まっすぐ前に出した指がズレない方が利き目です。利き目とダーツ、的の中心が一直線に並ぶ立ち位置に微調整すると狙いが楽です。
Q : 子どもや初心者の重さの目安は?
A : まずは18〜20g前後(ソフト)を目安に。重くすると直進性は出ますが、投げ方が固まるまでは扱いやすさ優先でOK。
Q : お店でのマナーを教えて
A : 投げている人の前を横切らない/順番を守る/スロー中は静かに/矢を抜く前に相手へ声かけ。初めてなら「初めてです」と伝えると案内がスムーズ。
Q : 01の終わらせ方(上がり)のコツは?
A : ダブルで上がれる偶数残しが楽。40、32、24などを意識。残りが奇数なら、まず一本だけシングルで偶数に整えるのも手。
Q : クリケットの基本戦術は?
A : 20からクローズ→点差を作る→相手の開いてる番号でオーバー、の流れが定番。
Q : ティップが曲がる/抜けにくい…どうする?
A : ティップは消耗品。曲がりやすい環境なら折れにくいタイプへ。抜けにくい時は“時計と逆回りにひねりながらまっすぐ”が基本、無理にこじらない。
Q : フライトやシャフトの交換タイミングは?
A : フライトが割れたり、折れて開かなくなったら交換。シャフトは曲がり・ネジ山の緩み・ガタつきが増えたら替え時です。
Q : バレルの手入れはどうする?
A : 汚れは中性洗剤で軽く洗うか、乾いたブラシで刻み部分を掃除。皮脂がたまると滑りやすくなるので、ときどき拭き取りを。
Q : ラインを踏んだら反則?
A : 基本は絶対に踏まない。大会や店舗ルールに従いましょう。気になる場合は足元の位置を毎回そろえる癖を。
Q : 緊張して手が震える…どうしたらいい?
A : 深呼吸しましょう。リラックスして、肩の力を抜くことが大事。投げる前に目を閉じて、イメージトレーニングも効果的です。
Q : 安全面で気をつけることは?
A : 投げている人の前に立たない、後ろの人に注意、抜いた矢は先端を下に。子どもはソフトティップ+保護ボード推奨。
Q : 伸び悩んだら何を変える?
A : 自分の投げを動画で確認、狙い分け(T20/T19/BULL)を均等に練習、時々プロのレッスンや上手い人に見てもらうのも近道です。

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元日本代表の“即効”ダーツ上達術

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